稀勢の里が優勝した。
優勝してしまった!
横綱になってしまった!
なんか、まだほっぺたを抓ってしまう。
もちろん嬉しいんだけどね。
街中が稀勢の里フィーバー!!
カラオケボックスでは「乾杯」が
上半期のトップになるだろうし、
今年の、命名ランキング1位は「ゆたか」
に決まりやな!
雑誌の取材で稀勢の里関にインタビューしたことがある。
2年前の巡業でのことだった。
普段殆どマスコミの前に姿を表さない彼にインタビューだなんて。
緊張で、頭は真っ白・・・にはならなかった。なぜかなあ。
ああいうときの私はどうかしているね。
人間対人間なのだから、という相田みつをの境地なんだなあ。
支度部屋にお邪魔すると、
孤高の戦士といった感じで、俺に近寄るなオーラ全開。
そんな稀勢に私は、爽やかに近づき、さり気なく少年時代の話を聞いた。
相撲に関しての質問をしても流されるだろうなと思ったからだ。
やんちゃな少年時代を過ごした彼は相撲部屋を目指した。
エネルギーの全てを相撲に費やした。
その中で印象的だったのは、若者に一言という話題から野菜の話になったときのこと。
「そうですよね、生野菜を食べないとですね」
と私が言うと、
「いやいや、生野菜は体を冷やすから、夜は温野菜の方がいい。
根菜を食べると体を温めるからいいですよ。
そういうところも気をつけないとね。ま、俺は専らマク◯ナルドだけどね」
と最後にブラックジョークも忘れないところが流石だった。
メディアに出ないで有名な稀勢の里のインタビューでわかったこと、
頑固に面白い人だということ。
思いが強いからこそ、真面目に一生懸命。曲げられない人なんだろうな。
横綱になって、ようやく彼のベールは解かれた。
そのストイックさたるや。
寝ている以外はほぼ稽古に費やしていた。
親方から、もうやめなさいと言われるほどだという。
野菜の食べ方の話がさらりと出てくるのも納得できた。
中学卒業後入門した鳴戸部屋。
青春時代の全てを相撲に捧げ、今もこれからも飽きることなく捧げ続ける人。
まぐれでも奇跡でもなく彼は横綱になるべくしてなった人なんだと納得できる。
白鵬関は横綱になるのは宿命だと言っていたけれど、
稀勢の里には、そんなドラマチックな筋書きはどうでもいいんじゃないかな。
男は語らんでも、背中で見せる。結果が全てだから言い訳もいらん。
ああ、ついに稀勢の時代がきてしまったよ。
嬉しいのに辛い。
辛いけど楽しみで楽しみで。
変な気持ちだよ。
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