少年式

なんだかすごく遠いような感じがするが
人はどんどんと形態を変えて進化(もしくはそれを退化と呼ぶのかも)
していくのだ。

14歳の2月。
少年式という、侍でいう元服の儀式が毎年に行われ
断ろうか迷ったまま母校の中学校へ講話にいった。
中学生の自分が、ぼんやりと遠くで
鈍色に光っていました。
新しい体育館の匂いは昔よりも清潔で
鳩の糞は落ちていなかった。

私が多分一番自由で
私の方が子供のようだった。
目の前にいる生徒たちは
全員マスクをして
同じ色のゴムで髪を一つに束ねて
おくれ毛一本出ないように
後ろからヘアピンでとめていた
金髪は誰もいなかった
スカートを短くする者も
長くするものも見当たらなかった。

いいことじゃないか。でも
どうして怖さを感じたのだろうか。

昔よりずっと満たされた空気の中で
昔よりももっと
学校というものに違和感を感じていた。

こんなところが世界の全てじゃないんだよ。
こっちにおいで。大人になって、自由はネットの中だけじゃないんだよ。
いろんな人がいるから、旅は始まったばかりだから。
はみだす勇気を、出せる子が一人でも二人でもいたら。
なんて。きっとみんなわかってるよね、
大人の方が馬鹿だったりする。