創作人形浄瑠璃の再演が無事に終わりました。
両日ともに満員御礼ありがとうございました。
初日は徳島県阿南市コスモホールでの公演
「老人と宇宙少年」です。
写真は、音楽担当の平本くんと、裃ブラザーズです。
このピアノ、ベーゼンドルファー!!!
めちゃめちゃいい音で、平本くん大喜びでした。
1700万するそうよ。阿南市お金もちです!
ホールは照明もあるので、情感が出しやすく、
農村舞台とはまた違った良さがありました。
お客さんも、笑ったり泣いたり、劇の中に入ってくれているのが
こちらにも伝わり手応えのある公演でした。
翌日の23日は、阿波十郎兵衛屋敷で「八百屋お七2017」を上演。
3Dプリンタで作られたお七人形の登場です。
写真の右、小さい方が徳島大学作の3Dプリンタお七。
前半に、古典の八百屋お七を上演し、
後半で、八百屋お七2017を上演。
ノイズ音楽と、ラップと、ロボットダンス。
お客さんからは賛否両論の声。当然です、仰天しますね。
まあ、仰天させようという目的ですからね。
やはり古典あっての現代劇です。
謙虚さを忘れず、やっていかねばですね。
古典の人形浄瑠璃だけでは、なかなかお客さんが入らなくなっているのが
現状だと勘緑さんにお聞きしました。
確かに、2015年勘緑さんとトークセッションさせてもらった、
「人形浄瑠璃フェスティバル」は無料だったにも関わらず、
ほぼ空席という状況・・・。
江戸から明治にかけて発展した芸能を、そのままの形で
伝えるということは、難しさもあるでしょう。
歌舞伎も現代的な要素を取り入れていますものね。
現代人形浄瑠璃を見に来る機会に、古典にも触れてもらい
どちらの良さも知ってもらえるといいなあと思いました。
写真は阿波木偶人形会館の人形の頭です。
ここでは、どのようにして人形が作られるか、
実演を交えながら説明してくれます。
頭1つ作るのに約三ヶ月がかかるそうです。
木の塊から彫りはじめ、できあがった顔には、
ホタテの殻をすり潰した粉に、にかわを混ぜた塗料を
30回も塗り重ね、そして磨いて艶を出し、人毛をはりつけて髪型を作るのです。
そのようにして作られた頭は100年持つそう。
流れ作業ではなく一人の職人が最初から最後まで作るのです。
三ヶ月の行程の中で、人形には職人の魂が入り込み、
さらに人形遣い師の魂が入り込み、
だからこそ100年大切に使われるのでしょう。
ちなみに「修理したらまた100年は使えるんですよ」と!
現在使われている人形の殆どが100年選手だとか。。。
何百年も残っていく作品を作るということ。
それは、もはや人形ではなく一つの命なのですね。
本当にすごいです。
当初、3Dプリンタで生まれたお七を、私は不憫に思っていました。
手軽さが、伝統芸能に本当に必要だろうか?
という疑問は、人形浄瑠璃の世界を知れば知るほどに
湧き上がってくる気持ちでした。
「機械の中から苦しみながら生まれた人形だからこそ、ノイズ音楽にしたんだ」と平本くんから、今回初めて聞きました。
彼女が生まれるときに聞いた音だろうから、と。
また、23日の公演にはお七の顔を作ってくれた資生堂のメイキャップアーティストの計良さんが見に来てくれ、4人のトークセッションも行われました。
計良さんは、白い顔も、彫りも、目も、口も、勘緑さんに相談しながら
独学で入れてくれたのだそうです。
きっとこの子を我が子のように思ってくれているんだろうな、
そうして徳島までわざわざ来てくれたんだろうなあ。
二人の思いを知ったとき、
大丈夫、みんなの愛情の中から生まれたんだと思えて、
きっとそれを3Dお七もわかってるんだなと、思ったのでした。
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