ハニームーン


三週間ぶりに日本に帰ってきました。
写真は、モロッコはサハラ砂漠で私の相棒だった
らくだのジミ・ヘンドリクス。(本名)
ほんまに大人しくてかわいいラクダ君でした。
ほら、目元がジミヘンに似ているでしょう?

旅の行程は
パリ一週間、スペインに飛んで、バルセロナ、マラガ、
ジブラルタル海峡を渡って、モロッコに到着。
タンジェ、シェフシャウエン、フェズと行って砂漠の街メルズーガ、
ワルザザード、バラの谷、マラケシュ、
またパリに戻って数日、日本へカムバックという感じです。
世界地図を広げてみてね。

三週間の旅のクライマックスはやはりサハラ砂漠だなあ。
フェズから車で10時間、メルズーガについて
砂漠の入り口から、ジミーに乗ること一時間半。

砂漠の砂は細かくて、しかもその日は運悪く強風で
目や口の中がじゃりじゃりになった。
地球にはこんなところがあるんだなあ。
そして、ここで暮らす人がいるんだ。
ラクダは観光用だけでなく、人々の足として活躍している。

今頃モロッコではまたコーランが鳴り響いて
夕食をまだかまだかと待ちながら
だるそうに寝ころがっている人々。
ラマダン中は夜中3時から夜8時前まで断食なので
みんなのテンションが低い低い!
そして食べると嘘みたいに元気になって、
ぺらぺらお喋りしてくる。二重人格!ってなくらいね。
そんな彼らのうざさも、今は懐かしく思えます。

旅の中で、たくさんの人に助けられました。
ハニームーンだよというとワインをおごってくれる人もいました。
そして多くの人が
「日本に行ったときにたくさんやさしくしてもらったからそのお返しさ」
と言ってくれました。

再び帰ってきたフランスではサッカーのEUROが始まった頃で、
街中大騒ぎ。
フランス人ってこんな騒がしかったっけ??と思っていると
なんと、イギリスからのフーリガン達の襲来でした・・・。
お祭り騒ぎといったって、これは度が過ぎています。
最初は面白そうで見ていたけれど、
危険だと地元の人に言われて
すぐにホテルに帰りました。

明け方、ショーウィンドウは割られ、
街中に散乱するビール瓶の破片を掃除する
フランスの清掃員達に胸を打たれたりしました。

その多くが有色人種であることも私には無視できないことで。

フランスに行って一番驚いたことは、
白人よりも黒人や有色人種の方が多いことで、アメリカやイタリアやスペイン、
その他のヨーロッパに行ったときには感じないほどの多さで、
単純に驚いたのでした。
難民らしき人たちもたくさんいました。
彼らの日常は私達のテレビから見る遠い世界。
いやこれが現実で、少し恥ずかしくなった。

物乞いする人を多くの人が無視するし、私も一週間もすると
慣れて無視するようになっていた。
電車の中で演奏する人たちには楽しい時間をありがとうって払っていたけれど、
物乞いは正直きりがない。
ある日、電車の前の席にずっと俯き本を読む青年が座っていた。
絶対お金とかあげなさそうな青年が、電車に乗ってきた物乞いの人に
さっとお金を出した。
リュックの前ポケットのチャックをさっと開けて、見事に1ユーロを渡した。
なんてスマートな渡しっぷりだろう。
男前であることは顔だけではなかった。そしてまた本に目を落とした。
彼は一週間だけのフランス旅行じゃない。これが彼の日常なんだ。
渡し方のスマートさからそれが見て取れた。

テロの後、大規模なデモが行われたレピュブリック広場から
ほど近いアパルトマンに一週間ほど滞在していたけれど、
休みの日になると若者達が、今もなおこの場所でデモや集会をしていたりして、
身につまされた。
一五〇年も前に開国しているはずだけど、日本はやっぱり島国だ。
ちゃんと世界に目を向けて彼らを見ていたい、何が起こっているかを知っていたい。

モロッコで驚いたのは、誰でも太鼓を渡すと適当に叩けて
踊れること。
私もベルベル人達と砂漠のテントの中でタムタムを演奏して
踊って楽しかった。こんな下手な演奏じゃなくて
次はプロのすごいコンサートに連れて行ってあげると地元の人は言ってくれて
それはそれで嬉しかったけど、めっちゃ上手な人のでなくても
こうやって一緒にワイワイ演奏して踊れたのが一番良かったと思ってるよ。
「日本では限られた人しか楽器は演奏できないし、
今はもう限られた人しか自分達の音楽を踊れないんだけど、
なんでモロッコの人はみんな楽器渡されたら演奏できて、
そんな上手に踊れるの?」と聞くと
「モロッコには先住民族のベルベルやグワナや後から入ったアラブ、
たくさんの民族がいるだろ。音楽と踊りは言葉がいらないじゃないか。
だから音楽はモロッコ人にとっては一番大切なものなんだ」
と、車のドライバーさんが言った。
これ、ミュージシャンの言葉じゃなくて、ドライバーさんの言葉だ。
モロッコではいろいろ悪い人(というか文化の違いと受け止めているけどね)にも合ったけど、この精神が根本にあるんだと信じている。

新婚旅行ということで、5つ星のホテルに泊まったり
めっちゃ素敵なリヤド(モロッコの邸宅)やカスバ(お城)にも泊まったりしたけど、
サマータイムのヨーロッパ、そしてラマダン中のモロッコ・・・
夜中2時まで遊びほうけて、ホテルになどいなかった。
ま、ゆっくりなどする訳ないのはわかりきっていたことだけどねー。
ハマム(モロッコ式の温泉&マッサージ)は最高だったけどね!
朝は4時から太陽ピッカーンであり、連日へとへと(地元民も毎日寝不足)、
刺激的以外の何ものでもない私達らしい旅だった。