2021 始まりの味

2021年がぬるっと始まった。
2020をどこかに置き忘れてきたような感じさえする。
妙な年明けだった。

そんな中で今年も「新春みかんの会」を開催した。
リモートでも、やっぱりこれだけは続けたいねと、
一緒に主催している千葉奈津絵さんと開催を決定した。
来年で10年になるなんて、だんだん時代になっていくね。

やれなかったことも多かった一年だったけど、
普段なら会えなかった全国のいろんな方々と
会うことができた。
細やかな喜びに目を向けることもできた。
思いっきり剪定された果樹のようだ。
根っこや幹を守り、またそれぞれに実をつけるだろう。
こんなことがなきゃZOOMなんて触りもしなかっただろうから、
人は何だって楽しめる生き物だとも思った。

参加者の家に、柑橘や柑橘を使った千葉さんのお菓子を送る。
そして1/ 11の18時になり、 一人、また一人と画面の窓が開いて、
いつもの顔、初めての顔が、おずおずと集まってくる。

柑橘の話もしたが、途中で肉の話に。
鳥インフルエンザで一日120万羽という鶏が殺処分されているのって
どうなんだろう? という話になった。さらっとニュースで流れてくるが、
これがもし猫や犬ならば人々は大騒ぎし行動を起こすだろう。
元々食用で作られた命だから、病気だから仕方ないのか?

一方で獣害として、殺されても食べられない猪や鹿が山のようにいる。
それをジビエとして一般家庭にまで流通させられたら、
鶏や豚をを人工的に増やすことを少しでも止められるんじゃないのか。
という話になっていった。詳しくは、
ミシマ社で連載している「高橋さん家の次女」を読んでね。
考えてみること、話し合ってみることで深まることがある。
それは、情報をただ受け取るだけとは違う気がする。
頭と心を動かして自分の考えを紡ぎ出すことは、面白い。
生き方のヒントになる。

最後に、参加者40名の言葉を繋いで、連詩を作ったよ。
全員のお話を聞くことは時間的に難しかったけど、
この一行の詩で、各地で暮らすみなさんの息遣いが感じられました。
今年もしっかりと息をしながら過ごしていこう。

 

〈 二〇二一年一月十一日 〉

二〇二一年一月十一日、鏡餅にひびが入ってきた

二〇二一年一月十一日、昼間から白い息が出るなんて思いもしなかった

二〇二一年一月十一日、一年ぶりにマスク無しで家族以外と会った

二〇二一年一月十一日、道路はつるつる

二〇二一年一月十一日、子ども達と巨大紙相撲の力士を作った

二〇二一年一月十一日、ゆっくりと小豆を煮る

二〇二一年一月十一日、まだ初詣には行けてない令和三年

二〇二一年一月十一日、長女が振袖をきました

二〇二一年一月十一日、こんなに柑橘を食べた年始はなかった

二〇二一年一月十一日、チビ雪だるまを作るも寿命は3秒

二〇二一年一月十一日、冷え切った部屋の中でリモートワークの準備をした

二〇二一年一月十一日、電力不足による電力価格高騰のお知らせが届いた

二〇二一年一月十一日、自分で前髪切りました

二〇二一年一月十一日、初詣には行ってないけど八朔おみくじが当たりました

二〇二一年一月十一日、左の手袋を探しに高尾の街をさまよった

二〇二一年一月十一日、振袖とマスクの色を合わせたお洒落な若者に会った

二〇二一年一月十一日、マスクをまとめて漂白

二〇二一年一月十一日、晴れ着姿の若者たちに、思わず「おめでとう!」と声を掛けた

二〇二一年一月十一日、お仕事…でしたが、みかんの会初参加できた

二〇二一年一月十一日、スキー場は雪とお客さんが一杯です

二〇二一年一月十一日、アルコールが滲みる手で、早朝の水仕事

二〇二一年一月十一日、夕方の空気の冷たさで鍋が食べたくなりました

二〇二一年一月十一日、まったく人影のない近所の運動場

二〇二一年一月十一日、ベランダに残っていた最後の内藤とうがらしの収穫をした

二〇二一年一月十一日、西風が毎日強く吹いている

二〇二一年一月十一日、ツイキャスで歌を聴いた

二〇二一年一月十一日、誰もいない職場で仕事捗る

二〇二一年一月十一日、みかんの色と大きさがまちまちでなんかうれしくなりました

二〇二一年一月十一日、八百屋だった時は一日に10個はたべてたなー、みかん

二〇二一年一月十一日、実家から大雪の画像が送られてくる

二〇二一年一月十一日、今年はベランダ栽培をやってみようかな

二〇二一年一月十一日、みかんを食べてビタミンチャージ。明日は東京も雪かな

二〇二一年一月十一日、感染対策皆無の人間ドック。慌てて除菌シートで全身除菌

二〇二一年一月十一日、柑橘の到着を知らせるチャイムの音

二〇二一年一月十一日、みかんが私の世界を広げてくれた

二〇二一年一月十一日、子どもと一緒に餃子を包んだ

二〇二一年一月十一日、だるまミッフィーと相席で柿のバフェを食べた

二〇二一年一月十一日、布団にくるまって競馬するくらいしかする事が見つからなかった

二〇二一年一月十一日、寒さで空気圧の下がったタイヤにパンクかと大慌て

二〇二一年一月十一日、踏切渡ってくみこちゃんち