午後2時。グワングワン揺れる体で起き上がる。
そうだ、実家か。
昨夜あげたtwitterの返信がすごいことになってる。
のそのそ手すりをつたって階段を下りる。
眼鏡がないから何も見えない。
旅行カバンに手を突っ込んで眼鏡ケースを探る。
ん、何か湿っぽい。
あちゃー、ライブ後の汗だくの服をそのまんま突っ込んでいたんだった。
重くなった衣装を取り出し、今日が何日で何曜日かを確かめる。
10月1日、土曜日。ラストライブは昨日。。。じゃなくて一昨日か。
昨日がすっ飛んでるや。
そうか、昨日愛媛に帰って、悪化した風邪を
「寝たら治る!」
と言い張ったけど、
母に無理やり、顔なじみの病院に連れて行かれたんだった。
「こんにちは、お久しぶりです。」
笑顔を振り絞り保険証を出した途端
「芸能人が来た!」
「芸能人じゃないですよ!」
「芸能人でしょう!」
「いやいや違いますよ!」
看護士さんと3回くらい言い合って、
もう何でもいいや、と、スリッパに履き替え
誰もいない待合室のソファに腰掛けた。
まだ私がバンドを抜けたことを誰も知らない診察室で
みんなピーチクパーチク騒いでいるのが聞こえる。
だから来たくなかったんだよなあ。
恐る恐る辞めたことを告げる。
「これからどうするんだ!」
「文を書いたりとか・・・」
「じゃあ、芥川賞目指すんだな!」
「・・・そうっすねー」
ぼんやりした顔で答える。